糸島自然研究会 2010年6月例会 大宰府周辺 (戒壇院の菩提樹)(6月17日)

瀬知 従子
 平成22年6月17日(木)入梅の不安な天候、夕方までは大丈夫だろうとの予報を頼りに出発する。 JR前原発8時36分、地下鉄で天神まで6名、西鉄電車で1名増えて9時50分都府楼に着くと6名の方々が待っておられた。13名で御笠川沿いの植物を観察しながら歩くこと40分。夏の日差しが厳しい。店舗の庭にナツツバキが見事に満開、気づかなかった入もあったらしく、声かけしなかったことを反省。メマツヨイグサが昨夕咲いた黄色とその前日咲いたオレンジ色との花をつけている。地面に這うように咲いているコマツヨイグサもある。マンテマは、ほとんど花が終わって種がはじけそうだ。ヒメジョオンは今花盛り、ヤブガラシ(藪枯らし)は今からが花の時期で、名にふさわしくなく緑に囲まれた紅色の花が可愛くて好きだ。糸島ではめったに見れないワルナスビは、花の美しさにみんな珍しがって鑑賞した。葉の形、トゲの鋭いのも特徴である。「悪なすび」とはねえと、その名にも注目であった。その葉が特徴でもあるヘラオオバコも糸島ではあまり見れないし、花穂が美しく可憐である。アカバナユウゲショウやヒルガオのピンク色がところどころに覗いてほっと和む。春にはつまんで口にするイタドリもすっかり成長して白い花盛りである。御笠川の洲には背が高い先にこんもり薄紫の小花をつけたヤナギハナガサ・小花がややまばらなアレチハナガサが見事に根付いて美しい。カルガモの親子が遊んでいたりカワセミも見られる。小さい魚らしきものが水面にぴょんぴょん飛び上がって鳥遠の餌になっているようだ。砂洲の上や水たまりにはクサガメと言われるものか亀甲がはっきりしているものと亀甲がはっきりしない、もしやスツポンではないかと思われる亀など3〜4匹遊んでいる。
 朱雀通りの朱塗りの大橋を左折寸前のところに南天に似ているが背丈30cmほどで葉が柔らかくへらへらしているオタフクナンテンとそれに巻きつくように茂って花盛りのヒルガオがある。大橋から3分程歩いて政庁跡に着く。 車組の吉丸さんと富高さんが待ってあった。ここで参加カードに記名していただき今日の日程確認した。 南門前で集合写真を撮り、周辺の植物観察しながら進む。南門前の池にはスイレンが美しかったが予備調査で見たオモダカが終わっていて残念だった。目的の戒壇院への道にアカメガシワが花盛りであるが、この時期イタドリも花盛りで、遠目にはほんとに良く似た花である。イタドリは草本のタデ科であるのに。珍しく1本だけグンバイナズナが実をつけていた。
 戒壇院前の畑にキツネノボタンがいっぱい咲いている。糸島では昔キツネノボタンがいっぱいあったが、近年ではほとんどがトゲミノキツネノボタンに代わってしまった。トゲミノキツネノボタンは、背が低く実にトゲがあってキツネノボタンとは違いがはっきりしている。
 戒壇院に入ると皆さん吸い込まれるように右奥の菩提樹の木に寄って行かれた。ほのかな香りは、線香の香りかと思えばそれだけでなく、花自体が香の香りを放っている。淡黄色で古いものはやや茶に変色している。ミツバチが蜜を求めて舞っている。葉は、不思議にさまざまな形をしておりー定ではない。ただし特徴的なのは、葉裏に白い星状毛がいっぱいあって感触もふんわりしている。会員の田代さんが、ボダイジュとかクロガネモチの蜜は同種の木がいっぱい植わっているところで、良い蜜源となる話をしてくださった。
 傍らに手書きでボダイジュの説明の札がさげられている。
 ボダイジュは、シナノキ科(科の木科)で、釈迦がその下で「悟りを開いた」と言われ寺院に植えられている。しかし釈迦が実際に悟りを開いたのは桑科で熱帯樹の「インド菩提樹」の下。この菩提樹とは違う。禅宗の僧侶、栄西が中国の天台山から葉の形が似ているところからこれを菩提樹として持ち帰ったと言う説がある。インドボダイジュは熱帯産で日本では育たないと言うのが真実であろう。 ちなみに釈迦が亡くなったのは沙羅双樹の下、沙羅双樹に間違えられるのは、ナツツバキだそうである。  なかなかややこしい話である。
 この戒壇院に植えられている菩提樹は鑑真和上が中国から請来したと伝えられていると言う。戒壇院には木造の鑑真和上像があった。
 戒壇院で一応解散の会をして弁当持参組とわかれて大宰府参道まで御笠川沿いに歩いたのは13名。道路沿いのハギの花にはびっくり、もう秋だろうか。川の中にはブタナやブタクサ・ヤナギハナガサが日立つ。
 12時近くそれぞれに昼食をとり、大宰府駅に1時集合し、大野城から見えた平井さんの案内で1駅先の五条駅から第一経済大学・第一福祉大学に英国式ガーデンを見に行くことになる。14人の参加があった。山地に建った学園に大きな湖を囲んで、日本ではあまり見られないような珍しい花がある。アジサイもいろいろあるがバラもやや盛りを過ぎた状態で咲いている。手入れはあまりされていないが、さまざまな草に囲まれた木々の下の散策が私には却って心地よかった。   帰りまで、心配した空も持ちこたえて、今日の観察目的は計画以上のものも見られ、十分達成できた。3時ごろ天神に着き、それぞれの帰路に分かれた。


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