糸島自然研究会 2007年12月例会報告 野外観察と20年度総会(12月9日)

記録 瀬知 従子
 平成19年12月9日(日)晴れ。JR前原駅北口午前9時出発のバスにて9名、芥屋太祖神社前9時半到着。現地にマイカーで5名集結して合計14名の野外観察参加となる。
 神社の周囲を囲う低い石垣に、アカザカズラが健在で元会長若宮先生に教わったあの日のことが思い出される。
 海岸に向かうと冬にしては風も殆ど感じず、心地よい日和である。大門の岸壁にへばりつくように釣りを楽しむ人の姿が見える。海岸に出る手前の砂地にハマベノギクの紫色の花が美しい。もうそろそろ盛りを過ぎる頃であるが、まだまだ楽しめる。ヨメナに間違えそうであるが、花の径がやや大きく草丈がヨメナのようには、上に高く伸びていない。同じくキク科のアブラギク(島寒菊)やホソバワダンの黄色い花が日につく。ホソバワダンは、当地でアゼトウナという人もあるそうだが、これは別物で現地のものは、ホソバワダンと同定する。花は小さいがやはり黄色の花をつけるツルナ(ハマチシヤ)が、今も咲いている。
 海岸に出る手前から林の中の散策路に入る。サオトメカズラ(ヘクソカズラ)の茶色の小粒の実が黄色くなった葉とともによく目立つ。志摩町の町木となっているツバキやトベラ、ハマビワ、オオイタビ、シロダモ、それからユズリハ(ヒメユズリハ?)は黒い実をつけているレマサキは硬い緑の殼を開きかけ赤い実を覗かせている。ハマヒサカキは、見つけぬ前から鼻を突くように香りが強い。サルトリイバラの大きなつるに出会うが、あの素敵な赤い実は残念ながらもう無い。戴いたのは鳥か人か? カルカヤにはオカルカヤとメカルカヤとがあるが、その違いは穂のつき方で見分けると清水会長に教わる。ネズミモチは、その名のように黒いねずみの真のような実をつけているし、キヅタも遅れてならじとぱかりに、今はまだ小さい緑のロート状の実を育てている。クロマツ等常緑樹の間にひときわ日立つハゼや、翼を持つヌルデの紅葉が美しい。
 海岸に出て大門の方に歩くと直ぐにダルマギクが広く鎮座している。薄紫の花を達磨に讐え、丸く重なりあったふわふわした葉を座布団に譬えた命名かと思ったら、そうではなくて、葉が丸いからとか、又は葉の重なり具合を言ったらしい。海岸線に沿った道を波止に向かって(玄武岩がごろごろしている黒磯海岸)足元の植物を楽しみながら歩く。ハマゴウの枝が大蛇の如く四方八方にのたうつ様に這い回っている。その先端に「もう最後の美だよ」と、言わんばかりにえんじと紫の中間の色め葉や、それより濃い実をつけて岩場を飾っている。夏り初めブルーの素敵な花を見せたのに二度も楽しませてくれた。海岸特有のテリハノイバラは赤い実をつけて鳥を待っているようだ。以前日にしてみたが、甘いけど種がいっぱいだったのを思い出す。波止に近い所で、バスの葉のように丸い葉裏の中央に近い所から柄をだしているハスノハカズラが目についた。葉の付け根から花穂がぬきんでて小さなみどりの花がつくそうであるが、出会ったことがない。夏から秋にもう一度行ってみよう。ボタンボウフウが、僅かな葉だけでその特徴を残している。センニンソウのそう果(種)が、名の由来の仙人のひげのような羽毛をつけている。
 ちょっと見ではトベラ(赤実)に似ているが、実が黒く枝葉が輪生状に出ているシャリンバイもこの地に多い。しかしトベラはトベラ科、シャリンバイはバラ科である。
 11時過ぎに磯乃屋に集結し総会となる。総勢16名の参加である。松原氏に進行及び議長を務めていただき会を進めてもらった。
 2月の火山観察会は例年になく参加者が多く(54名)嬉しい悲鳴であったが、その理由に駐車場の案内が良かったことや、近場で無理せずに家族連れで楽しめる場所であったこと、更に西日本新聞等の行本案内等が考えられる。今後そのようなことを念頭に計画する必要がある等の意見が上げられた。
 また、年々減小している会員数を何とか取り留め、増やす方法を考えなければ会は消滅してしまう。団塊の世代が退職になったここ数年、会員一人が1名の会員を誘う等、今年の課題として考える期間にしたらどうか。また糸島地区で稲作経験をしたり菜種作りをする等の、他団体の活動が紹介された。はまぼうの会もそのひとつである。そのような他団体との連携を持つことも―つの方法であろう等、前向きの意見が出された。
 今年は、「糸島のガイドNo.3」の計画もあるが、出来たらカラー写真等ビジュアルなものを取り入れていったが良いという意見が出された。
 総会ば1時間程で終了し、その後宴会に移り、窓外の海や立石山のながめを楽しみながら、新鮮な魚貝料理を満喫し午後3時に終了した。


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