糸島自然研究会 1月高祖神社〜ファームパーク伊都国 報告
清水和人
 2005年(平成17年)1月16日(日)曇り。昨夜からぐんと冷え込み時折霙(みぞれ)が降るなか、午前10時ファームパークに集合した者13名。皆は急いで売店の中へ入って行く。霙も降り止み、売店の軒先で本日の野外観察を決行するかどうかを話し合った。「青空も見えてきたし、すぐ晴れるでしょう。」「とにかく出発しよう」と言う意見が多く、出発することにした。出発前に食堂の方へお昼の弁当7名分を注文した。出発前にいろいろと時間を取ったため、高祖神社についてから参加費を徴収する事にした。
 午前10時20分頃出発。ファームパークの東側の道路を通り、恰土中央台保育園の前を通って、高祖神社参道入り口に到着、途中は寒くて、道路脇や田んぼの畦の草花など植物名だけ言って観察はしなかった。参道入りロまで来ると民家や近くの雑木林が防風林の代わりをして、暖かさを感じ野外観察を始めた。
 大鳥居わきの土塁の上に建てられている恰土城跡記念碑を見学。記念碑は糸島型花陶閃緑岩で高さ4〜5mもある巨岩に「恰土城跡」と刻まれていた。記念碑のわきに恰土城築城の話を書いた説明板がある。
 (糸島新聞社発行「伊都国遺跡ガイドブック」には 恰土城は、日本と新羅の関係が悪化していた8世紀頃、大陸に対しての国防拠点として築かれた古代の山城で約30平方qにわたる城域の中から、土塁や城門、望楼跡とみられる礎石群や水門と濠などが現在までに確認されていると書かれている。)
 説明を読み終わり、金龍寺の方へ続く土塁の上を暫く歩いて行くと末永・作出の方からのぴてきた車道が土塁を切り開いて造られている。ここでUターンし大鳥居の所まで戻って来た。その時、春田氏が「皆さんが出発されたあとを追って来ました。」と言って参加され、参加者は14名になった。
 皆が引き返して14人揃ったところで、参道わきの植物を観察しながら登っていった。民家の古い石垣や側溝には・ハコベ(ナデシコ科、一名ハコベラとも言う。春の七草の一つ)・ホトケノザ(シソ科、越年生の草花で4月頃上部に淡紫色の花を着ける。春の七草の一つであるホトケノザは、これとは別の植物である,)・オドリコソウ(シソ科、少し日陰に育つ多年草で、5〜6月頃淡い紅紫色または白色のはなをつける。)ホトケノザ、オドリコソウは、植物図鑑に春4月〜6月頃花が咲くと説明されているが、ここは生け垣や民家で冷たい風が遮られているのでしょう。真冬に花をつけている。・ナズナ(アプラナ科、一名ペンペンクサといい、昔から春の七草の一
種として食用とした。)その他、石垣や大きな樹木には、・ヒメイタビ(クワ科、樹木や岩につくつる性の木で、幹は多数に枝分かれし、若い枝には褐色の毛が多い。)・イノモトソウ(ウラボシ科、山麓の石垣の間などに多いシダで、地下茎は塊状で葉の縁には子のう群ができる。井戸端によく生えるのでこの名がある。)・オオイタビ・オニタビラコ・ヤブソテツ・カニクサ等も観察した。
 神楽殿前の坂道には中央に・キリシマツツジが植えられ。途中3ヵ所程石段がある。坂道の両脇はスギやヒノキの人工林であるが、スダジイやモウソウチク等が入り込み今は雑木林のようにみえる,この林床には・オカメザサ(イネ科、庭園・神社などに植えられる小形の竹)・シャガ(アヤメ科、野山の林床に沢山生える多年草、葉は光沢がある。4〜5月頃白っぽい紫色の花を開くが、一つの花は一日限りでしぼんでしまう。)・ナギ (マキ科、神社の境内などによく植えられる常緑高木。樹皮は紫褐色で鱗状にはがれ、あとは紅黄色となる。)等を観察しながら拝殿まで登って来た。
 拝殿前に大きな・オガタマノキ(市の保存植物)やクスノキが大きく枝を張っている。拝殿の北側に女池、南側に男池がある。女池の周辺には胸高囲1〜2mの・スダジイ・クスノキ・カヤ・スギ等が繁茂している。男池の脇に・モッコク(市の保存植物)や藤棚がある。皆は拝殿前で集合写真を撮り、南側の駐車場へ出る。駐車場の周辺は大きなクスノキ・スダジイ・サクラ等が生い茂っている。ここから、春田氏の先導で金龍寺へ向かう。金龍寺は最近造られた前庭があり、中央には金龍寺と刻み込まれた高さ4〜5mの石碑が建てられている,本堂は高祖山を背景にし荘厳さを漂わせている。本堂裏へ統く築山を暫く見せて頂き、11時50分頃、金龍寺を出発した。坂道の両側にある民家の庭先には梅の花が早くも三分咲き。また、海岸に生えるアカザカズラが枯れずに残っていた。
 ファームパークに12時30分頃到着。早速、注文していた弁当を頂き、食堂のテープルに座ると、店長さんがみえて「自然研の方は、研修室に席を準備しているから」と言って案内された。暖房のきいた部屋、あったかいお茶の接待を受ける。皆は感謝して昼食をとった。帰りは売店に立ち寄り温洲蜜柑や漬物等を買い、それぞれ家路についた。おわり
 <参考文献>牧野日本植物図鑑、伊都国遺跡ガイドブック、糸島群誌。



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